
ヒドロクロロチアジドの日本における代表的な先発品は、万有製薬が販売していた「ダイクロトライド」でした。しかし、この先発品は現在販売中止となっており、市場では後発品のみが流通しています。
かつてはニュートライドという名称も存在しましたが、現在は東和薬品から販売されている「ヒドロクロロチアジド錠「トーワ」」へと変更されています。
参考)ヒドロクロロチアジドとは何? わかりやすく解説 Weblio…
💡 意外な事実:先発品が販売中止となった背景には、製薬業界の再編や採算性の問題が影響しています。チアジド系利尿薬は古くから使用されている薬であり、特許期間が満了した後は後発品の価格競争が激化。先発品メーカーが採算性の観点から販売継続を断念したケースです。
現在、単剤のヒドロクロロチアジド製剤は後発品のみですが、配合剤では「プレミネント」(ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド)、「エカード配合錠」(カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド)、「コディオ配合錠」(バルサルタン・ヒドロクロロチアジド)、「ミコンビ配合錠」(テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド)などの先発品が継続して販売されています。
現在市場に流通しているヒドロクロロチアジド製剤は、東和薬品の後発品「ヒドロクロロチアジド錠「トーワ」」が中心です。
| 製剤名 | 規格 | 剤形 | 薬価 | メーカー |
|---|---|---|---|---|
| ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」 | 12.5mg | 素錠 | 5.9円/錠 | 東和薬品 |
| ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」 | 25mg | 素錠 | 5.9円/錠 | 東和薬品 |
| ヒドロクロロチアジドOD錠12.5mg「トーワ」 | 12.5mg | 口腔内崩壊錠 | 5.9円/錠 | 東和薬品 |
📊 薬価の特徴:12.5mgと25mgの両規格が同じ5.9円/錠という価格設定は、他の降圧剤と比較しても非常に低廉です。これは、チアジド系利尿薬が長年使用されてきたジェネリック医薬品であり、製造コストが抑えられているためです。
OD錠(口腔内崩壊錠)については、2026年3月末を予定して販売中止が発表されています。これは、普通錠へ集約することで安定的な製品供給を行うための措置です。
参考)https://www.hospital.or.jp/site/news/file/1705629869.pdf
適応症は、高血圧症(本態性・腎性等)、悪性高血圧、心性浮腫(鬱血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、薬剤(副腎皮質ホルモン、フェニルブタゾン等)による浮腫など多岐にわたります。
ヒドロクロロチアジドの主な作用機序は、腎遠位尿細管におけるNa⁺(ナトリウム)とCl⁻(クロライド)の再吸収を抑制することです。
🔬 作用の詳細メカニズム。
また、炭酸脱水酵素阻害作用も有しており、これが軽度の代謝性アルカローシスを引き起こすことがあります。
🎯 意外な作用:カルシウム再吸収促進
ヒドロクロロチアジドは、他の利尿薬とは異なり、尿中カルシウム排泄を減少させる作用があります。これは、遠位尿細管でのカルシウム再吸収を促進するためです。
この特性を活かして、本態性高カルシウム尿症による腎結石(カルシウム結石)の再発予防に使用されます。尿中カルシウム濃度が低下することで、結石形成リスクを低減させることができます。
さらに、腎性尿崩症の治療にも使用されます。腎性尿崩症では、抗利尿ホルモン(ADH)に対する腎の反応性が低下し、多尿・多飲症状が現れます。ヒドロクロロチアジドは、尿量を減少させることでこの症状を改善します。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1e21.pdf
ヒドロクロロチアジドの副作用は、主に電解質異常と光線過敏症に分類されます。
⚠️ 重大な副作用(頻度不明)。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/DrugInfoPdf/00056258.pdf
その他の副作用(0.1〜5%未満)。
| 系統 | 副作用 |
|---|---|
| 精神神経系 | めまい、知覚異常、浮遊感、頭痛 |
| 血液 | 白血球減少、血小板減少、貧血 |
| 肝臓 | 肝炎 |
| 代謝異常 | 低マグネシウム血症、低クロール性アルカローシス、電解質失調、高尿酸血症、高血糖症 |
| 過敏症 | 発疹、顔面潮紅、光線過敏症 |
| 消化器 | 食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、便秘、膵炎 |
| 眼 | 視力異常(霧視)、黄視症 |
| その他 | 倦怠感、インポテンス、筋痙攣 |
🌞 光線過敏症と皮膚癌リスク
ヒドロクロロチアジドは、光線過敏症(日光や紫外線に対して皮膚が通常より強く反応する状態)を引き起こすことが知られています。
参考)https://ubie.app/byoki_qa/medicine-clinical-questions/t7wkkap_jcz7
さらに、2018年以降、欧州医薬品庁(EMA)や各国の規制当局から、ヒドロクロロチアジドの長期投与と非黒色腫皮膚癌(NMSC)のリスク増加に関する警告が発表されています。
参考)Hydrochlorothiazide: risk of n…
📈 皮膚癌リスクの詳細。
参考)GOV.UK
✅ 医療従事者の対応。
ヒドロクロロチアジドは、単剤ではなくARB(アンジオテンシンII受容体遮断薬)との配合剤として処方が増えています。
代表的な配合剤。
| 商品名 | 成分 | メーカー | 薬価 |
|---|---|---|---|
| プレミネント | ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド | オルガノン | LD:45.7円/錠 HD:65円/錠 |
| エカード配合錠 | カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド | 武田テバ薬品 | LD:26.8円/錠 HD:46.1円/錠 |
| コディオ配合錠 | バルサルタン・ヒドロクロロチアジド | ノバルティスファーマ | MD:26.6円/錠 EX:27.1円/錠 |
| ミコンビ配合錠 | テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド | 日本ベーリンガーインゲルハイム | AP:35.1円/錠 BP:49.8円/錠 |
参考)商品一覧 : ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド
🎯 相乗効果のメカニズム。
特に、高齢者や腎機能低下を伴う高血圧患者では、配合剤による相乗効果が期待できます。
参考)https://jsn.or.jp/journal/document/52_7/939-944.pdf
💡 意外な臨床効果:夜間高血圧の改善
ヒドロクロロチアジド配合剤は、昼間の血圧だけでなく夜間高血圧の改善にも有効であることが報告されています。これは、利尿作用による体液量減少が、夜間の血液濃縮を防ぐためと考えられています。
また、腎障害を合併した高血圧患者においても、ARB単独よりもARB+ヒドロクロロチアジド配合剤の方が、尿蛋白減少効果が高いことが示されています。
ヒドロクロロチアジドを処方する際に注意すべき点が多岐にわたります。
🚫 禁忌。
⚠️ 慎重投与。
🍽️ 減塩療法中の患者への注意。
ヒドロクロロチアジドはナトリウム排泄作用があるため、厳重な減塩療法中の患者では、一過性の血圧低下や低ナトリウム血症を起こすリスクが高まります。
参考)https://med.sawai.co.jp/file/pr1_1592.pdf
特に、食事からのナトリウム摂取が極端に制限されている患者では、本剤投与により体液量減少が過度になり、起立性低血圧やめまい、倦怠感を誘発する可能性があります。
🩺 糖尿病・痛風患者への影響。
📊 相互作用。
これらの相互作用を考慮し、併用薬の調整やモニタリングが重要です。
参考リンク。

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