安全対策 地震 医療機関と病院現場の備え

地震時に医療従事者が患者と自分の身を守りながら医療提供を継続するための安全対策とは何か、改めて考えてみませんか?

安全対策 地震 医療従事者の現場対応

安全対策 地震 医療従事者の現場対応
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診療継続と安全確保

揺れの中でも医療従事者が安全に行動し、患者の治療を継続するための基本行動や院内体制を整理します。

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設備と備蓄のポイント

ライフライン途絶を前提にした医療機器や薬剤・水・電源などの備蓄と配置の工夫について解説します。

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マニュアルと訓練

地震対応マニュアルやBCPの作り方、訓練の進め方、現場で機能するチェックリストの工夫を紹介します。


安全対策 地震 医療従事者の基本行動と院内マニュアル



揺れを感じた瞬間、医療従事者の最優先事項は「自分と患者の生命の保護」であり、診療継続や救命処置よりも先に安全確保行動を取ることが推奨されています。京都大学の地震対応マニュアルでは「まず低く、頭を守り、動かない」という安全確保行動1-2-3を基本として、職員が周囲の者に身を守るよう指示することを求めています。


参考)https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/inline-files/r7-Earthquake-Safety-Manual-staff-ja-1afa79b2bd29c7a20685e0273172a07d.pdf
診療室や病棟では、落下物や転倒物から身を守るために、丈夫な机やベッドサイドの安全な空間に身を寄せ、慌てて廊下や屋外へ飛び出さないことが強調されています。耐震性のある建物内では、揺れの最中に外へ出ること自体が危険を高めることもあり、まずは院内アナウンスや防災担当者の指示を待つ行動が基本です。


参考)地震対応マニュアル


一方で、耐震性能が十分でない施設や古い病棟では、余震や構造被害のリスクを考慮して、揺れが収まった後に迅速な避難判断が必要になります。京都大学のマニュアルでも、耐震性のない建物にいる場合には「余震に注意しながらできる限り速やかに避難する」ことが記されています。


この避難判断を現場に任せきりにすると混乱や指示待ちが起きやすいため、院内の地震対応マニュアルには「誰が、どのタイミングで避難の号令を出すのか」「エレベーターは絶対使用しないこと」「一時集合場所と避難場所」を明文化しておくことが重要です。



また、医療従事者向けのマニュアルには、以下のような項目を具体的に盛り込むと、初動対応の質が大きく向上します。


  • 非常口・避難経路図、二方向以上の避難経路の事前確認
  • 消火器、自動火災報知設備、屋内消火栓の位置と使用方法
  • AED、救急箱、ヘルメット、懐中電灯等の安全用品の設置場所
  • 緊急連絡網、安否確認システムへの登録方法
  • 災害時要配慮者(入院患者、高齢者、妊産婦、障害者など)の避難支援ルール



意外と見落とされがちなポイントとして、「診療記録と患者リストのバックアップと可搬性」があります。電子カルテの利用が一般的な現場でも、停電やネットワーク障害により瞬時にアクセス不能になる可能性があるため、災害拠点病院の震災対策として「簡易な紙ベースの患者一覧」「優先搬送リスト」を日常的に更新しておく取り組みが報告されています。


参考)https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2016/04/08/1369228_4.pdf
さらに、看護管理職向けの災害時マニュアルでは、災害班の編成や指揮系統、情報収集・伝達体制を明確にし、誰がどの指揮命令系統に属するのかを平時から共有しておくことが推奨されています。


参考)https://www.jst.go.jp/ristex/output/files/12a655b228fe8903cbe824707bc51b81.pdf


看護管理職のための災害時マニュアルでは、災害直後の看護管理者の役割として「被害状況の把握」「人員配置の再編成」「優先度の高い患者ケアの選定」などが例示されており、これらをチェックリスト化しておくことで判断負荷を軽減できるとされています。


こうしたマニュアルやチェックリストは、形式的な文書ではなく、地震発生時に現場で実際に使える実務文書であることが重要であり、年1回の総合防災訓練の中で「紙を片手に行動する訓練」を組み込むことで、運用レベルを高めることができます。


参考)病院スタッフのための地震対策ハンドブック | 防災科学技術研…


病院スタッフのための地震対策ハンドブックでは、将来起こり得る大地震に備え「今何をすべきか」「どう具体的に行動すべきか」を導くための実践的な手順が示されており、院内マニュアル作成時の雛形としても参考になります。


このような外部資料を院内の安全対策委員会で定期的にレビューし、自院の規模・機能・患者構成に合わせてカスタマイズしていくことで、医療従事者が迷わず動ける「生きたマニュアル」に育てることができます。



病院スタッフのための地震対策ハンドブックには、病院内で想定される被害と行動の具体例が整理されており、院内マニュアル作成や教育資料の参考になります。
病院スタッフのための地震対策ハンドブック | 防災科学技術研究所


安全対策 地震 病院設備・ライフラインと耐震対策

病院耐震ガイドでは、病院建物の耐震性能だけでなく、医療ガス、電力、給水、情報システムなどのライフラインの耐震性と冗長性が、地震時の医療継続に直結することが指摘されています。


参考)https://www.jaso.jp/docs/reports/pamphlet/pamphlet_hospital.pdf
例えば、高圧ガスボンベは床と壁に固定されたボンベスタンドに立て、鎖で上下2箇所を弛みなく固定することが推奨されており、これを怠ると地震時にボンベが転倒して致命的な二次災害につながる可能性があります。



院内の安全対策では、以下のような設備面の「地震前の準備」が重要になります。


  • 非常口、防火戸、防火シャッター前に物を置かない
  • 消火器、消火栓、避難器具周辺に物を置かない
  • 室内は整理整頓し、通路や出入口に障害物を置かない
  • 家具の転倒防止、落下物の防止対策、ガラス飛散防止フィルムの設置
  • 非常用照明、誘導灯、非常電源の定期点検


参考)https://www.hyogo-c.ed.jp/~kakokita-hs/pdf/19_1.pdf


災害拠点病院の震災対策の現状と課題をまとめた資料では、耐震改修の進捗だけでなく、医療機器やサーバー室の免震・制震、無停電電源装置(UPS)の整備、非常用発電機の燃料備蓄などが課題として挙げられています。


特にICUや手術室など生命維持装置が多い部門では、短時間の停電でも患者の生命に直結するため、系統別に電源冗長化を行い、「どのコンセントが非常電源につながっているか」をスタッフが一目で分かるよう表示する工夫が紹介されています。



意外な盲点として、「院内放送設備」や「電話交換機」の耐震性が十分に検討されていないケースがあります。診療機器の耐震対策が進んでいても、情報伝達の中枢が地震で機能停止すると指示系統が麻痺するため、災害拠点病院の資料ではこれらの設備の耐震化とバックアップルートの整備を推奨しています。


また、災害時の情報システムとして、クラウド型の安否確認システムや院内SNSを活用する取り組みも進んでおり、京都大学では教職員が自発的に安否状況を登録できるシステムを地震対応マニュアルとセットで提供しています。



病院耐震ガイドでは、建物の構造だけでなく、内装・設備・機器の耐震対策について具体的なチェック項目がまとめられており、定期点検や改修計画の参考になります。
病院耐震ガイド - NPO法人 耐震総合安全機構(JASO)


安全対策 地震 BCPと災害拠点病院の初動体制

地震発生時に医療機能を維持するためには、単なる避難マニュアルだけでなく、事業継続計画(BCP)としての視点が不可欠です。JASPAが公開しているBCP初動マニュアルでは、災害発生後の初動対応に特化した行動指針をまとめており、医療機関でも応用可能な内容が含まれています。


参考)https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/bcp/file/bcp1.pdf
BCPの初動では、被害状況の把握、人員・資源の状況確認、優先業務の選定、指揮命令系統の確立などを短時間で行う必要があり、災害拠点病院の震災対策資料でも同様の構成で整理されています。



災害拠点病院として指定されている施設は、地域の救急医療の中核として、地震時に多数の負傷者を受け入れる役割を担います。文部科学省の資料では、災害拠点病院の震災対策の現状と課題として、次のようなポイントが挙げられています。



  • 災害医療体制(DMAT等)との連携
  • トリアージスペースの事前確保と動線設計
  • 災害用医療資器材の整備と備蓄
  • 病床の一時的な再配置と空床確保
  • 他医療機関との連絡手段と情報共有体制



BCP初動マニュアルでは、災害対策現地本部を速やかに立ち上げること、役割分担を明確にしたうえで情報収集・分析・意思決定・指示の流れを途切れさせないことが重要とされています。災害対策現地本部の資料では、現地本部の設置場所、必要な備品、情報掲示の方法などが具体的に記載されています。


参考)https://www.ktc.ac.jp/img/students/etc/safety/safety_manual.pdf
医療機関においても、災害対策本部の機能を事前にシミュレーションし、どの部署から誰が参集するか、交代要員をどう確保するかまでBCPに落とし込んでおくことが、初動体制強化につながります。



意外な視点として、BCPでは「職員の家族の安全」と「通勤経路の安全」も重要な要素です。京都大学の地震対応マニュアルには、自宅の耐震化、家具の転倒防止、食料・飲料水・生活必需品の備蓄など、職員自身の家庭での備えも記載されており、これを満たすことで職員が安心して職場に参集しやすくなるとされています。


医療従事者向けの安全対策としても、職場だけでなく自宅や通勤ルートの地震リスクを理解し、家族と安否確認ルールを共有しておくことが、BCPで求められる「人の確保」に直結する重要な準備です。



BCP初動マニュアルは、災害発生直後の行動の流れをフローチャート形式で示しており、医療機関の事業継続計画を設計する際の参考になります。
BCP初動マニュアル - 一般社団法人 日本損害保険協会(JASPA)


安全対策 地震 看護管理職と医療従事者教育・訓練

看護管理職のための災害時マニュアル一般編では、看護管理者が災害時に果たすべき役割と、平時からの教育・訓練の重要性が詳しく述べられています。


看護管理職は、地震発生直後の混乱の中で、看護師や他職種の安全を守りつつ、限られた人員で必要なケアを優先配置する役割を担うため、災害時マニュアルを元にしたOJTや机上訓練が不可欠です。



教育・訓練のポイントとして、次のような手法が有効とされています。


  • 年1回以上の地震想定訓練(避難・トリアージ・救急処置を含む総合訓練)
  • 特定部署(ICU、手術室、透析室など)向けの部署別訓練
  • 夜勤帯や休日帯を想定した少人数訓練
  • 新人教育時の地震対応オリエンテーションの必修化
  • シミュレーション教材を用いたロールプレイ



防災科学技術研究所の病院スタッフ向けハンドブックでは、訓練を「形式的にこなすだけ」で終わらせず、現場で実際に起こりうる状況を想定し、スタッフごとの役割を明確化することの重要性が強調されています。


例えば、薬剤師や臨床検査技師、放射線技師など、看護師・医師以外の職種も含めた訓練を実施し、それぞれが地震時に担うべき役割をシナリオとして共有することで、災害時の協働体制が高まります。



意外な教育テーマとして、「地震時のコミュニケーション技法」があります。災害時には患者や家族の不安が高まり、情報が錯綜するため、看護管理職は冷静かつ簡潔な説明を行い、不必要な混乱や暴言・暴力を抑える役割も求められます。看護管理職向けマニュアルでは、災害時の説明のポイントや、多言語対応の工夫についても触れられています。


さらに、看護管理職が自らのストレスマネジメントやメンタルヘルスにも配慮し、災害後の長期的な負担に備える必要性が指摘されており、地震後の心理的ケア体制も安全対策の一部として位置づけるべきだとされています。



看護管理職のための災害時マニュアルは、看護部門全体の役割分担や訓練計画、教育内容の設計に役立つ具体的な事例を提供しています。
看護管理職のための 災害時マニュアル (一般編) - JST RISTEX


安全対策 地震 医療従事者の独自視点:自宅と通勤路での備えと安全行動

医療機関の安全対策では病院内の対応が中心になりがちですが、医療従事者個人の「自宅」と「通勤路」での地震対策も、実は院内の事業継続に大きく影響します。京都大学の地震対応マニュアルでは、自宅の耐震化や家具の転倒防止、食料・飲料水・生活必需品の備蓄など、職員の家庭での備えを詳細に示しており、これらが職員の参集可能性に直結することが示唆されています。


医療従事者は、地震発生後に自宅や家族の安全確認と職場への参集を両立しなければならず、そのためには平時から「家族との安否確認ルール」「連絡が取れない場合の行動」「自宅から職場までの複数ルート」を決めておくことが重要です。



通勤中に地震に遭遇した場合の行動については、一般的な地震対応マニュアルで次のような基本行動が示されています。


  • 屋外では、落下物・倒壊物から離れ、建物の外壁やガラスから距離を取る
  • 駅構内や商業施設では、係員の指示に従い、出口に殺到しない
  • 地面の亀裂や陥没、液状化した地面に注意して歩行する
  • 車通勤の場合は急ブレーキを避け、安全な場所に停車し情報収集する



これらの一般的な行動に加え、医療従事者ならではの独自視点として、「職場に戻るべきかどうかを判断するための基準」を家族と共有しておくことが挙げられます。例えば、「自宅の安全確認と家族のケアを30分~1時間で終えたあと、職場の被害状況や呼び出しの有無を確認し、参集の可否を判断する」といったルールを決めておくことで、混乱時でも行動の指針が明確になります。


また、医療従事者の中には、地震発生直後から自発的に職場へ向かう方も少なくありませんが、交通網の混乱や二次災害リスクを踏まえて、病院側が「参集要請のタイミングと手段」を明文化し、職員に周知しておくことが、かえって安全確保につながります。



意外な情報として、自宅の耐震化や家具固定は「個人の防災」というだけでなく、災害拠点病院の機能維持の観点からも重要な投資であると位置づけられつつあります。職員の自宅が被災しにくくなれば、長期的に見て病院の人員確保が安定し、地域医療全体のレジリエンス向上につながるという考え方です。


このように、地震の安全対策を「病院設備」と「院内マニュアル」だけでなく、「医療従事者個人の生活」と「家族・通勤路」まで広げて捉えることで、医療機関全体としての地震レジリエンスをより高いレベルで実現できるでしょうか。

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