ゾリンジャーエリソン症候群とガストリノーマの原因症状治療

ゾリンジャーエリソン症候群とガストリノーマの関係や診断、治療の最新知見をまとめました。難治性潰瘍の裏に潜む腫瘍を見逃していませんか?

ゾリンジャーエリソン症候群とガストリノーマ

ガストリノーマは実は6割以上が悪性なんです。


ゾリンジャーエリソン症候群とガストリノーマの要点
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病態の本質

ガストリンを過剰分泌する神経内分泌腫瘍が原因で、難治性の消化性潰瘍や下痢を引き起こします。

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診断のポイント

血清ガストリン値の上昇に加え、セクレチン負荷試験でΔIRG20%以上を確認することが診断基準です。

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治療の優先順位

外科的完全切除が基本ですが、切除不能例ではPPI高用量投与やオクトレオチドが症状緩和に役立ちます。


ゾリンジャーエリソン症候群の症状と見逃されやすいサイン



ゾリンジャーエリソン症候群の代表的な症状は、消化性潰瘍逆流性食道炎・水様性下痢の3つです。潰瘍は患者の90%以上に認められ、通常の消化性潰瘍治療薬に反応しにくいのが特徴です。イメージとしては、通常の胃薬を1か月飲んでも治らない潰瘍が繰り返し再発する状態です。


参考)https://www.sanko-clinic.com/library/5bd29c769f87d38d1bba3335/631174b71eb0645b0ca2cea9.pdf


下痢は、過剰な胃酸が十二指腸に流れ込み、小腸内のpHが酸性に傾くことで脂肪性の便として現れます。進行すると穿孔性腹膜炎に至る危険もあります。


参考)ガストリノーマについて


つまり治りにくい潰瘍と下痢の組み合わせが疑うサインということですね。


こうした症例を見た際、単なる難治性潰瘍として対症療法を続けるだけでは根本原因を見逃すリスクがあります。ガストリノーマを疑うタイミング→鑑別診断の精度向上→血清ガストリン測定を検査オーダーに追加、という流れを院内フローに組み込んでおくと見逃しを防ぎやすくなります。


ガストリノーマの発生部位とMEN1との関係

ガストリノーマは膵臓または十二指腸に発生することが多く、膵島細胞腫瘍の中ではインスリノーマに次いで頻度が高い腫瘍です。特に多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)に伴うガストリノーマは、十二指腸に発生する割合が高いことが分かっています。MEN1関連の場合は膵臓だけでなく副甲状腺や下垂体にも腫瘍が生じやすい点が特徴です。


参考)ガストリノーマ(ゾリンジャー・エリソン症候群) - 基礎知識…


MEN1患者のガストリノーマ全体の約60%に膵内分泌腫瘍や消化管内分泌腫瘍がみられます。これは意外ですね。


参考)膵内分泌腫瘍;ガストリノーマ,ゾリンジャーエリソン症候群,グ…


MEN1に伴うガストリノーマでは、SASI test(選択的動脈内分泌刺激試験)に基づいた根治術が有効とされています。日本やヨーロッパでは根治術が積極的に行われる一方、米国ではMEN1患者に対してあまり積極的な手術が行われない傾向がある点も、地域による治療方針の違いとして押さえておきたいポイントです。



ガストリノーマの診断に使われる検査と数値の読み方

診断では血清ガストリン値の上昇を確認したうえで、セクレチン負荷試験を実施します。診断基準は負荷後と負荷前の血清ガストリン値の差(ΔIRG)が20%以上で陽性となる、というものです。健常者ではセクレチン負荷でガストリン分泌が抑制されるため、この逆の反応が診断の決め手になります。



数値だけでは分かりにくいので例えると、通常なら水を飲むと落ち着くはずの反応が、ガストリノーマでは逆に興奮してしまうようなイメージです。ΔIRG20%以上が陽性の目安です。


画像検査としてはCT・MRI・超音波内視鏡・血管造影などを組み合わせて腫瘍の局在を探ります。ガストリノーマは非常に小さな段階からホルモン症状を引き起こし、遠隔転移するケースも多いため、全身検索が欠かせません。院内で複数モダリティを使い分ける際は、検査部門と連携して撮影プロトコルをあらかじめ確認しておくと検査の重複を避けやすくなります。



ガストリノーマの治療選択肢と予後の実際

治療の第一選択は、転移巣も含めた外科的完全切除です。しかし手術で治癒できるガストリノーマは全体の約20%にとどまるという報告があります。これは意外ですね。


参考)ガストリノーマ - 12-ホルモンと代謝の病気 - MSDマ…


完全切除ができた場合、5~10年生存率は90%以上と良好です。一方、切除が不完全に終わった場合は5年生存率が43%、10年生存率が25%まで下がります。この差は非常に大きいです。



薬物療法では、PPIによる胃酸分泌抑制が潰瘍出血や穿孔の予防に有用です。オクトレオチドは症状緩和に加えて腫瘍増殖抑制効果も期待できます。多発肝転移例では肝動脈化学塞栓術(TACE)やラジオ波焼灼術が選択肢になることもあります。欧米で行われているペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)は、日本国内ではまだ未承認である点も押さえておくべき情報です。



診療現場で押さえておきたい独自の視点

見落とされがちなのが、ガストリノーマの悪性度そのものです。実はガストリノーマは膵神経内分泌腫瘍の中でも悪性である割合が高いとされ、診断時にすでに肝転移などを伴う例が少なくありません。難治性潰瘍としてPPIで長期管理してしまい、根本的な腫瘍検索が後回しになるケースが臨床現場では起こりがちです。



つまりPPIで症状が落ち着いても油断は禁物ということですね。


症状コントロールと腫瘍の悪性度評価は別問題として扱う必要があります。難治性潰瘍を繰り返す患者を診た際の対応→ガストリン値測定と画像検索の同時オーダー→内分泌内科または消化器外科への早期紹介、という流れをカルテのテンプレートに組み込んでおくと、対応の抜け漏れを防ぎやすくなります。


ガストリノーマの診断基準や治療薬の詳細な解説はこちら


膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)の診療ガイドライン全文はこちら

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