
健康診断でよく見られる脂質検査項目のトリグリセリド(中性脂肪)。基準値は男女ともに空腹時で30~149mg/dLが正常範囲とされています。
150mg/dL以上になると高トリグリセリド血症と診断され、生活習慣の見直しが必要になります。特に注意すべきは、随時採血(食後)の場合で、175mg/dL未満が正常域とされています。
参考)女性の中性脂肪が高い原因は?更年期・痩せ型でも要注意!放置リ…
判定基準は以下の通りです。
500mg/dLを超えると急性膵炎のリスクが急激に高まるため、特に注意が必要です。
女性のトリグリセリド値は、年齢とともに変動するのが特徴です。若い頃はエストロゲンの働きで脂質代謝が良好に保たれていますが、40代以降、特に更年期を迎えると状況が一変します。
エストロゲンには、脂質の代謝を促し、余分な中性脂肪や悪玉コレステロール(LDL)が血液中に増えすぎるのを防ぐ働きがあります。 しかし、閉経前後になるとエストロゲンの分泌量が急激に低下するため、同じような食事をしていても体が脂肪を燃焼しにくくなります。
「生活を変えていないのに急に数値が悪くなった」という場合は、このホルモンバランスの変化が大きく影響していると考えられます。
年齢別の目安。
「私は太っていない、むしろ痩せているのになぜ高いの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。BMIが標準以下であってもトリグリセリドが高い場合、以下の要因が考えられます。
見た目は痩せていても、体の中身は「筋肉が少なく、脂肪が多い」状態を、医学的には「サルコペニア肥満」や、脂肪が本来溜まるべき場所以外に蓄積する「異所性脂肪」と呼ぶことがあります。
これは過度な食事制限ダイエットを繰り返してきた女性などに多く見られます。また、体質的に皮下脂肪として蓄える能力が低く、行き場を失った脂肪が血液中や臓器に溢れてしまうケースも研究で明らかになっています。
隠れ肥満のチェックポイント。
トリグリセリドは食事の影響を非常に受けやすい項目です。検査前日に脂っこい食事やアルコール、甘いものを大量に摂った場合、一時的に数値が跳ね上がることがあります。
正しい数値を測るためには、検査前10時間以上は水以外の飲食を控えることが推奨されます。 特にアルコールはトリグリセリド値を上昇させるため、検査前日は飲酒を控える必要があります。
検査前の注意点。
最も誤解されやすいのが食事の内容です。トリグリセリドは、食事で摂った脂質がそのまま血液中に入るだけでなく、使いきれなかった「糖質」が肝臓で中性脂肪に合成されることで増えます。
特に女性が好む以下の食品は、脂質は低くても糖質が高く、トリグリセリドを急上昇させる原因となります。
「油物は控えているから大丈夫」と思って、おやつに果物をたくさん食べたり、ヘルシーだと思って甘い野菜ジュースを常飲したりしていませんか?これらが数値上昇の主犯格であるケースは非常に多いのです。
改善のための食事ポイント。
血液中にトリグリセリドが増えすぎると、善玉コレステロール(HDL)が減り、悪玉コレステロール(LDL)が小型化して血管壁に入り込みやすくなります。
これにより血管が厚く硬くなる「動脈硬化」が進行します。動脈硬化が進むと血流が悪くなり、最終的には心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。
高トリグリセリド血症のリスク。
トリグリセリド値が500mg/dLを超え、特に1000mg/dL近くになると、「急性膵炎」を発症するリスクが急激に高まります。
これは膵臓が自分の消化液で溶けてしまう激痛を伴う病気で、重症化すると命に関わります。極端に高い数値が出た場合は、直ちに受診が必要です。
急性膵炎の症状。
トリグリセリドの値が高い背景に、他の病気が隠れていることもあります。代表的なのが「甲状腺機能低下症」です。
甲状腺ホルモンは代謝を活発にする働きがありますが、この機能が低下すると代謝が落ち、トリグリセリドやコレステロールが分解されにくくなります。
特に中年以降の女性に多い病気であるため、倦怠感や冷えなどを伴う場合は医師に相談することをお勧めします。
甲状腺機能低下症の症状。
200mg/dLや300mg/dLの場合、直ちに薬が必要とは限りません。まずは食事療法と運動療法から始めるのが一般的です。
しかし、動脈硬化のリスクが高い場合(糖尿病や高血圧を併発している場合など)や、生活改善でも数値が下がらない場合は、医師の判断で薬物療法が検討されます。
薬物療法の判断基準。
トリグリセリドは、コレステロールに比べて「生活習慣の改善効果が出やすい」項目でもあります。
食事と運動を少し意識するだけで、数週間で数値が改善することも珍しくありません。
運動療法のポイント。
ストレスを感じると、体は対抗するためにエネルギーを蓄えようとし、ホルモンバランスが乱れて代謝が悪化することがあります。 また、睡眠不足も食欲増進ホルモンの分泌を招き、過食の原因になります。
厚生労働省 e-ヘルスネット 脂質異常症:脂質異常症の基礎知識と生活習慣改善のポイント
MSD Manuals 脂質異常症:専門的な脂質異常症の病態と治療法
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