あなた、2剤減らしても0円です。
参考)https://www.jshp.or.jp/activity/guideline/20240415-1-1.pdf

病院で狙う加算は、診療報酬上の「薬剤総合評価調整加算(退院時1回)」と、その上乗せである「薬剤調整加算」です。対象の基本は、入院前に6種類以上の内服薬が処方されていた患者、または精神病棟で抗精神病薬を4種類以上内服していた患者です。結論は要件の束です。
ここで大事なのは、単に薬を減らした事実ではないことです。持参薬確認、多職種での総合評価、処方変更、患者への説明、病状悪化や副作用の再確認、さらにカンファレンスや日常的な情報共有まで、通知では一連の流れをすべて求めています。つまり減薬だけでは不十分です。
しかも、ポリファーマシーは「薬の数が多いこと」そのものではなく、薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、アドヒアランス低下などの問題につながる状態と定義されています。だから6剤という数字だけで候補患者を機械的に拾うと、現場の説明や記録が薄くなりやすいのです。ここが基本です。
参考になる通知整理の部分です。
A250 薬剤総合評価調整加算(退院時1回)
実務でまず外しやすいのが、6種類判定の数え方です。通知では、屯服薬は内服薬の種類数から除外し、服用開始4週間以内の薬剤も調整前の種類数から除外するとされています。6剤なら問題ありません、とは言い切れません。
たとえば入院前薬が「定期5剤+頓用2剤」なら、見た目は7剤でも対象の6種類以上に届かないことがあります。さらに、新しく追加された睡眠薬や胃薬が開始2週間なら、その薬も入口判定から外れます。意外ですね。
もう一つ重要なのが、150点の薬剤調整加算です。これは総合評価調整加算の要件を満たしたうえで、退院時に内服薬が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続すると見込まれる場合などに算定できます。2剤減れば取れるわけではありません。
精神科では例外の見方も少し異なります。抗精神病薬4種類以上が対象になり、2種類以上減少、またはクロルプロマジン換算2,000mg以上から1,000mg以上減少した場合も含められます。精神科だけは例外です。
なぜ起きるのでしょうか。理由は単純で、薬剤師だけが頑張っても成立しないからです。通知は、医師・薬剤師・看護師等の多職種連携の下で総合評価を行い、評価内容や変更の要点を診療録等に記載することを求めています。記録が条件です。
このリスクを減らす場面では、退院前カンファレンスの抜け漏れ防止が狙いになります。その場合の候補は、薬剤管理サマリーのテンプレート運用を1つに統一する方法です。これは使えそうです。
算定体制づくりの参考になる部分です。
日本病院薬剤師会 ポリファーマシー対策の進め方(Ver 2.1)
2024年度改定を受けて、日本病院薬剤師会は「ポリファーマシー対策の進め方(Ver 2.1)」を公表し、業務手順書の例示や薬剤管理サマリーの更新、精神科版の追加を行っています。学会資料ではなく、現場運用の下敷きになる文書です。手順書が原則です。
通知でも、ガイドライン等を参考にポリファーマシー対策に関する手順書を作成し、保険医療機関内に周知し活用することが明記されています。ここが弱い病院では、担当者が変わるたびに対象患者の拾い方や記録の粒度が揺れ、算定の再現性が落ちます。痛いですね。
手順書に最低限入れたい項目は、入院時の持参薬確認、6種類判定の除外ルール、評価の開催基準、患者説明の記録場所、退院後4週間継続見込みの確認方法、摘要欄へ記載する内容です。通知では、他院処方を合算して2種類以上減少した場合は、他の保険医療機関名や各医療機関での調整前後の種類数を摘要欄に記載するとされています。記載までが実務です。
この場面での対策は、記録漏れリスクを下げることです。狙いは担当者依存をなくすことなので、候補は電子カルテの定型文設定を1つ作る方法になります。つまり仕組み化です。
加算の対象患者は、入院時点ですでに候補が見えています。たとえば高齢で腎機能が落ちている患者、転倒歴がある患者、便秘薬や睡眠薬が重なっている患者は、薬物有害事象やアドヒアランス低下の説明が通りやすく、多職種評価にもつなげやすいです。通知が求めるのは数合わせではなく、問題のある薬物療法を修正した過程だからです。結論は先回りです。
ここで有効なのが、退院前だけでなく入院48時間以内に候補患者を抽出する運用です。病棟薬剤師が一覧を作り、医師・看護師と短時間で共有すれば、退院直前に慌てて2剤削るより安全で、説明も通しやすくなります。早期介入が基本です。
さらに、算定だけを目的にすると現場は続きません。転倒、せん妄、低血糖、便秘、眠気、服薬負担といった患者アウトカムにひもづけて話すと、医師にも看護師にも伝わりやすく、病院全体の合意形成が進みます。あなたが院内で動くなら、最初に見るべき数字は点数より対象患者リストです。
参考になる全体像の資料です。
日本病院薬剤師会 ポリファーマシー対策の進め方 PDF
【指定第2類医薬品】イブA錠 90錠