あなたの早食い習慣、PYY効果を半分以下にします。

ペプチドYY(PYY)は小腸のL細胞から分泌される食欲抑制ホルモンで、食後の満腹感に深く関わっています。高タンパク食を摂ると、食前のレプチンだけでなく食後のペプチドYYやGLP-1の分泌も亢進することが報告されています。つまり、たんぱく質中心の食事が基本ということですね。
一方で、量だけ増やせばよいわけではありません。極端な高タンパク食は腎機能への負担も考えられるため、体重1kgあたり1.2〜1.6g程度を目安にするのが現実的です。この数値はコンビニのサラダチキン1〜2個分に相当するイメージです。
忙しい勤務中でも、コンビニで高タンパクなメニューを選ぶだけで手軽に実践できます。栄養成分表示でタンパク質量をメモする習慣をつけると、無理なく続けられるでしょう。
日本消化器病学会関連の研究では、一口あたり30回咀嚼した場合と5回咀嚼した場合の血中PYY値が比較されています。咀嚼5回群では食前35.8pg/mLから食後41.3pg/mLへの上昇だったのに対し、咀嚼30回群では食前35.7pg/mLから食後65.9pg/mLへと大幅に上昇しました。差はおよそ1.6倍です。
早食いの人がよく噛む人の半分程度しかPYYが上がらないというのは、意外ですね。忙しい診療の合間に短時間で食事を済ませることが多い医療従事者にとって、これは見過ごせないポイントです。
一口30回を意識するだけで、この差を埋められます。時間がない場合は、ひと口を小さくして自然と噛む回数を増やす工夫が有効です。咀嚼回数をカウントするアプリを使うのも一つの方法でしょう。
有酸素運動後の摂食抑制に関する研究では、運動終了後60分以内に食事を摂ることで、GLP-1の増加効果を活かしやすいと考えられています。PYYについても血液や迷走神経を介して摂食抑制に関与することが示唆されています。運動と食事のタイミングは、思っている以上に重要ということです。
運動直後は空腹感が抑えられているため、無理に食事を後回しにする必要はありません。むしろ、このタイミングを逃すとホルモンの働きを十分に活かせない可能性があります。運動後60分が一つの目安になります。
短時間のウォーキングでも一定の効果が期待できるという報告もあります。院内での休憩時間に軽く歩くだけでも、習慣化しやすいでしょう。
PYYは36個のアミノ酸からなり、主にPYY3-36という形で分泌され、NPY Y2受容体を介して食欲を抑制します。GLP-1もL細胞から分泌される点は共通していますが、作用する受容体や薬理応用の広がりに違いがあります。両者は似ているようで役割が異なるということですね。
近年注目されているGLP-1受容体作動薬は、このホルモンの作用を人工的に模倣したものです。一方でPYYを標的とした治療薬はまだ研究段階のものが多く、日常的には食事や運動による自然な分泌促進が現実的な選択肢になります。
意外と知られていませんが、患者への食事指導を行う立場の医療従事者自身が、勤務中の早食いや欠食によってPYYの恩恵を受けにくい生活を送っているケースは少なくありません。指導する側が実践できていないというのは、痛いところですね。
夜勤明けの空腹時にまとめ食いをする習慣がある場合、血糖変動が大きくなりやすく、結果的に満腹感のコントロールが難しくなることもあります。この場合はどうなるんでしょう?答えは単純で、小分けにした高タンパクな間食を活用することでPYYの分泌タイミングを整えやすくなります。
自分自身の生活習慣を見直すことが、結果的に患者指導の説得力にもつながります。まずは一食だけでも咀嚼回数を意識してみることから始めるとよいでしょう。
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