
ニコチン依存症とは、血中のニコチン濃度がある一定以下になると不快感を覚え、喫煙を繰り返してしまう疾患です。 たばこを吸うと肺からニコチンが取り込まれ、すぐに脳内のニコチン性アセチルコリン受容体に結合します。
参考)ニコチン依存症
喫煙してニコチンを常時摂取するようになると、神経伝達物質の調節をニコチンに委ねてしまい、自分で分泌する能力が低下します。 その結果、たばこを吸えない状態が続くと神経伝達物質の分泌が低下し、以下のような症状が出現します。
これらの症状はニコチン離脱症状(禁断症状)と呼ばれ、たばこが吸えない状態が続いたときに喫煙することによって消失するため、再び喫煙を続けてしまう悪循環が生まれます。
また、以下のような行動特徴もニコチン依存症の症状として現れます。
ニコチン依存症の診断には、TDS(Tobacco Dependence Screener:ニコチン依存症スクリーニングテスト)が用いられます。 このテストは10項目の質問で構成されており、「はい」を1点、「いいえ」を0点として計算し、合計5点以上でニコチン依存症と診断されます。
参考)https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/50/pdf/no50_TDS.pdf
TDSの10項目は以下の通りです。
参考)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/08/dl/s0804-3a03.pdf
TDSはWHOの「国際疾病分類第10版」(ICD-10)やアメリカ精神医学会の「精神疾患の分類と診断の手引き」(DSM-III-R、DSM-IV)に準拠して開発されたもので、日本人を対象に信頼性と妥当性の検討がなされています。 ICD-10の診断結果をgold standardとした場合のTDSの感度は95%、特異度は81%と報告されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kin-en-sien/manual/01-3-1.html
参考リンク(TDS診断テストの詳細):
厚生労働省 ニコチン依存症のスクリーニングテスト「TDS」について
禁煙を開始すると、さまざまな離脱症状(禁断症状)が現れます。 これらの症状は、ニコチン漬けになっていた体からニコチンが抜け出すために現れるもので、以下のような症状が含まれます。
参考)ニコチン依存症(ニコチン中毒)とは?症状・原因・治療・病院の…
これらの症状は辛いものの永遠に続くものではなく、3日から1週間、長くても2〜3週間で消失します。 離脱症状の多くは、禁煙後3日以内にピークとなりますが、おおむね1週間、長くても2〜3週間で消失します。
参考)健康ネット
禁煙後の体の変化(プラスの変化と禁断症状):
参考)https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/110905.pdf
ニコチンが脳に及ぼす影響は非常に速く、たばこを吸うと数秒で脳に達し、快感を生じさせる物質(ドーパミン)を放出させます。 ドーパミンが放出されると、喫煙者は快感を味わいます。同時に、またもう一度タバコを吸いたいという欲求が生じます。
参考)https://www.sowa-kai.jp/mm/wp/wp-content/uploads/2024/01/001.pdf
ニコチンは脳内のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、ドーパミン作動性神経終末においてドーパミン放出を促進します。 このメカニズムにより、ドーパミンD1およびD2情報伝達が増強され、快感と依存の悪循環が形成されます。
参考)https://www.brain.kyutech.ac.jp/~natume/brainscience/bss04/ippan_2.html
しかし、この快感は一時的なもので、ニコチンの影響はなくなるのも早く、30分程度で離脱症状がおこり、イライラしたり落ち着かなかったりなどの状態になります。 そのため、またニコチンを摂取したくなるのです。
喫煙という行為は、喫煙自体が原因で生じたイライラを、次の1本を吸うことで解消しているだけと言えます。 つまり、喫煙の習慣から脱することができれば、イライラなどのニコチン切れ症状とは無縁の生活を送ることができます。
参考リンク(ニコチンの脳内作用メカニズム):
ニコチン依存症を判定するテスト TDS(環境再生保全機構)
多くの人が「禁煙できないのは意志が弱いからだ」と思い込んでいますが、実際にはニコチン依存症という病気のためです。 ニコチン依存症はWHO認定の疾患であり、麻薬に劣らない依存度のニコチンが原因でタバコをやめられない状態です。
参考)ニコチン依存症とは - 喫煙のデメリットや依存度診断・禁煙方…
喫煙者の約70%は、ニコチン依存症に陥っているといわれています。 これは、単なる習慣ではなく、れっきとした依存症(病気)として位置づけられており、自分の意思だけで喫煙をやめることが難しくなっているのが特徴です。
参考)「ニコチン依存症」の人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修…
また、仕事や家庭のストレスが原因と思っているイライラの正体は、タバコを吸っているが故に生じているニコチン切れ症状である可能性が高いです。 そのため、禁煙治療では禁煙補助薬を服用することで、離脱症状を緩和することが可能です。
参考)https://www.nyredcross.org/disease/35
ニコチン依存症の治療は、保険適用の対象となっており、TDSで5点以上となり「ニコチン依存症」と判定される必要があります。 禁煙治療を受けることで、医療的なサポートを受けながら離脱症状を管理し、禁煙成功率を高めることができます。
参考)ニコチン依存症スクリーニングテスト「TDS」|銀座並木通りク…
参考リンク(禁煙治療の医療的サポート):
日本医師会 禁煙の医学
禁煙の離脱症状|1週間での変化や対処法・ニコチン中毒依存度診断(FIT CLINIC)
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