あなたが待つ徐脈、実は3割弱でしか出ません。
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脳への血流を守るため血圧が上昇し、脈がゆっくりになる現象です。
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血圧上昇・徐脈・不整呼吸が全部揃う例はむしろ稀で、揃うのを待つと対応が遅れます。
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脳ヘルニア直前のサインとされ、早期に気づくことが救命につながります。

クッシング徴候は、頭蓋内圧が急激に亢進したときに現れる生体の防御反応です。脳腫瘍や頭部外傷、水頭症などによって頭蓋内の容積が増えると、脳を圧迫する力が高まります。
脳灌流圧は「平均血圧マイナス頭蓋内圧」で決まります。頭蓋内圧が上がれば脳への血流が減ってしまうため、体は血圧を上げて何とか血流を確保しようとします。
この血圧上昇は、いわば脳が発する非常ベルのようなものです。放置すれば脳虚血が進み、脳ヘルニアという重篤な状態に至ります。
参考)早期発見が命を救う!「脳ヘルニアを見つけ出すポイント」
つまり血圧上昇は「まだ間に合う」サインということですね。
教科書的には「血圧上昇」「徐脈」「不整呼吸」の3つがクッシング三徴として紹介されます。しかし臨床現場では、この3つがきれいに揃うケースは決して多くありません。
不整呼吸は頭蓋内圧亢進のかなり末期になってから出現する症状で、これが見られる時点ではすでに脳ヘルニアが差し迫っている可能性があります。
意外ですね。
三徴すべてを確認してから動くのでは、対応が遅れるリスクがあります。血圧上昇だけでも早期に気づき、医師へ報告する体制を整えておくことが重要です。院内の急変時プロトコルやSBAR報告テンプレートを、あらかじめ確認しておくと安心です。
徐脈は交感神経の過剰な興奮を、圧受容体というセンサーが感知することで起こります。血圧が上がりすぎたことを体が察知し、心拍数を抑える方向にブレーキをかけるわけです。
この段階まで進むと、すでに脳血流の代償機構が限界に近づいています。あなたが夜勤中に「脈がしっかりして遅い」患者を見つけたら、それは緊急性の高いサインかもしれません。
脈圧の増大にも注目が必要です。収縮期血圧だけが上がり脈圧が広がる現象は、脳虚血を打開しようとする体の必死な反応の表れです。
痛いですね。
見逃すと数分単位で状態が悪化することもあるため、バイタルサイン測定の間隔を短くする判断が求められます。頭蓋内圧モニタリング機器がある施設では、数値変化と合わせて評価すると精度が上がります。
名前が似ているため、クッシング現象とクッシング症候群を混同してしまう人が少なくありません。クッシング症候群は副腎皮質ホルモンの過剰分泌による内分泌疾患で、脳の頭蓋内圧亢進とは全く別の病態です。
参考)【理解すれば脳疾患の問題の難易度が下がります!】頭蓋内圧亢進…
どちらも「クッシング」という同じ人物、脳神経外科医ハーヴェイ・クッシングの名前に由来しますが、中身は別物ということですね。
カルテや申し送りで略語を使う際は、どちらを指しているのか明確にする必要があります。用語の混同は情報伝達ミスにつながるため、院内の用語集やマニュアルを一度見直しておくと安全です。
医師による摘出術や減圧術、脳室ドレナージなどが根本的な治療になりますが、看護師や医療従事者にもできる対応があります。ベッドのヘッドアップを30度以上に保つことが基本です。
参考)https://www.rishou.org/wp-content/uploads/2019/09/2_1Cushing_slide.pdf
排便時のいきみや咳嗽も、頭蓋内圧を一時的に上げる要因になります。これらを避けるよう患者指導することが、悪化予防につながります。
〇〇に注意すれば大丈夫です、と単純化はできませんが、日々の細やかな観察の積み重ねが予後を左右します。
体位管理や排便コントロールについては、施設で使われている頭蓋内圧亢進ケアのチェックリストを活用すると、抜け漏れなく確認できます。
頭蓋内圧亢進の看護における観察項目とケアの具体的な進め方はこちら