クリプトスポリジウム症を「4類」だと思い込んでいると、届出期限を勘違いして重大なミスにつながります。
参考)https://www.medic.mie-u.ac.jp/ict/4-09.html

クリプトスポリジウム症は感染症法において五類感染症の全数把握対象疾患に定められています。
似たような水系・糞口感染症には4類に分類されるものもあるため、混同しやすいのが実情です。
しかし本疾患は診断した医師全員に届出義務がある「全数把握」の対象です。
つまり5類だということですね。
届出を怠ると保健所からの指導対象になるだけでなく、地域での集団感染拡大を見逃すリスクにもつながります。院内の感染対策マニュアルに分類と届出フローを明記しておくと、当直医や研修医の誤認防止に役立ちます。
届出の時期は診断確定から7日以内と定められています。
届出事項には氏名・性別・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域まで含まれます。
項目数が多いので、初診時からカルテに感染経路の聴取メモを残しておくと後の作成がスムーズです。
7日という期限は意外と短いです。
検査でオーシストを確認してから記入漏れに気づくケースも多いため、電子カルテのテンプレートに届出項目を組み込んでおくサービスを活用する医療機関も増えています。院内システム担当者に相談し、届出様式を事前登録しておくことをおすすめします。
潜伏期間はオーシストの経口摂取後、4〜5日から10日程度とされています。
症状は無症状のものから、食欲不振・嘔吐・腹痛・水様性下痢や粘血便まで幅広く現れます。
免疫正常者では数日から2〜3週間以内に自然軽快することが多いです。
参考)クリプトスポリジウム症(cryptosporidiosis)…
一方でエイズなど免疫不全患者では重篤化し、1日3〜5リットル、時に10リットルを超える下痢で脱水死することもあります。
10リットルというと、2リットルペットボトル5本分に相当する量です。
これほどの脱水が急速に進むため、免疫不全患者を診る際はクリプトスポリジウム症を鑑別に入れておくことが重要です。輸液プロトコルを事前に確認しておくと初動が早くなります。
診断は糞便中のオーシスト検出が基本です。
参考)クリプトスポリジウム症
オーシストは直径約5マイクロメートルと非常に小さく、通常の原虫・虫卵検査法では判別が困難です。
そのためショ糖浮遊法や抗酸染色法などの特殊検査が必要になります。
5マイクロメートルは、髪の毛の太さの15分の1程度の大きさです。
見落としを防ぐには、3回以上の便検査を行うことが望ましいとされています。臨床的に本疾患を疑った場合は、必ず検査室にその旨を事前連絡しておくことが確実な診断への近道です。
確立した特異的治療法は現時点でなく、対症療法が中心です。
HIV患者では抗HIV療法による免疫能回復が最も期待できる治療とされています。
ニタゾキサニドが有効との報告がありますが、国内未承認薬のため個人輸入が必要になります。
これは知っておくと得な情報です。
患者対応では流水洗浄による手指衛生と接触感染対策が必須です。環境が汚染された場合は過酸化水素や高濃度塩素、5〜10%アンモニアによる消毒が有効とされています。輸入手続きに迷う場合は、熱帯病治療薬研究班のホームページで最新の輸入方法を確認しておくと安心です。
クリプトスポリジウム症の感染経路・治療法・感染対策を詳しく解説した日本感染症学会の専門情報はこちら
法的取り扱いを含む最新の感染症情報は国立健康危機管理研究機構の公式ページで確認できます
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