
気管支喘息の治療薬は、大きく「長期管理薬(コントローラー)」と「発作治療薬(リリーバー)」の2つに分類されます。長期管理薬は毎日の使用で気道の炎症を抑え、発作そのものを予防する役割を担います。一方、発作治療薬は症状が出た時に気管支を広げて呼吸を楽にする即効性のある薬です。
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主な長期管理薬には以下の種類があります。
発作治療薬としては、短時間作用性β2刺激薬(SABA)が中心で、メプチンやベネトリンなどが代表的です。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/07/dl/tp0727-1a.pdf
子供の気管支喘息治療では、年齢によって使える薬や剤形が異なります。2歳未満の乳幼児では、吸入ステロイド薬としてシクレソニド(オルベスコ)やベクロメタゾン(キュバール)が使用可能です。ロイコトリエン受容体拮抗薬はモンテルカスト(シングレア)が生後6か月から、プラノルカスト(キプレス)は1歳からの適応があります。
参考)https://tokyo-hp.hosp.go.jp/iryoukankei/kyunyuryouhou/pdf/step.pdf
5歳以下の幼児期では、吸入薬の剤形選択が重要です。ドライパウダー inhaler(DPI)は吸入操作が難しいため、 에어로ゾル吸入器(pMDI)にスペーサーを併用するか、ネブライザーを使用します。6歳以上の学童期になると、DPIの使用も可能になり、シムビコート(ブレデスニド/ホルモテロール)などの配合剤も選択肢に加わります。
参考)https://www.f-clinic.jp/20130109.pdf
| 年齢 | 主な吸入薬 | 剤形 |
|---|---|---|
| 2歳未満 | シクレソニド、ベクロメタゾン | エアロゾル+スペーサー、ネブライザー |
| 2〜5歳 | ベクロメタゾン、プロカテロール | エアロゾル+スペーサー、DPI(一部) |
| 6歳以上 | シムビコート、フルタイド | DPI、エアロゾル、ネブライザー |
保護者が最も懸念するのが吸入ステロイドの副作用ですが、適切な使用量であれば安全性は非常に高いと言えます。吸入ステロイドの副作用は、局所的なものと全身的なものに分けられます。局所的副作用としては、咽頭刺激感、嗄声、口腔カンジダ症などがありますが、これらは吸入後のうがいやスペーサーの使用で予防可能です。
参考)👦子供の喘息に吸入ステロイドは必要? 必要性と副作用の不安に…
全身性の副作用として身長への影響が挙げられますが、研究によると吸入開始後1年間で約0.48cmの成長抑制が見られるものの、成人期の最終身長への影響は1.2cm程度と報告されています。重要なのは、フルチカゾン換算で200μg/日以下の低用量であれば、重大な副作用のリスクは極めて低いことです。
参考)Q5-3 薬の副作用が心配なのですが|小児ぜん息Q&A|ぜん…
逆に、吸入ステロイドを使用せずに喘息を放置すると、気道炎症による気管支や肺の成長障害、繰り返す発作による日常生活への支障、睡眠障害など、お子様の成長に悪影響が生じます。コントロール不良の喘息の方がリスクは大きいのです。
吸入薬の効果を最大限引き出すには、正しい吸入方法が不可欠です。特に小児では、吸入テクニックが不十分だと薬が肺に届かず、期待した効果が得られません。スペーサーの使用は、吸入薬の肺沈着率を向上させ、咽頭付着を減少させるため、3〜4歳以下の幼児では必須と言えます。
参考)喘息発作に関し、スペーサーによる定量噴霧式吸入はネブライザー…
スペーサーを使用した吸入の手順。
1. スペーサーを口に密着させ、息を完全に吐き出す
2. 吸入器を1プッシュし、ゆっくり深く吸いもらう(5〜10秒程度)
3. 10秒ほど息を止める
4. できればうがいをする
ネブライザー vs スピーサーの比較研究では、急性発作時の入院率やピークフロー改善に有意差はなく、スペーサー使用の方が救急外来での滞在時間が短かったという報告もあります。
参考)子どもの喘息治療|発作を減らす薬の使い方と長期管理のポイント…
多くの保護者が誤解している意外な事実として、「発作時=救急外来でネブライザー吸入」という常識が挙げられます。実は、急性喘息発作に対するβ2刺激薬の吸入において、スペーサーを用いた定量噴霧式吸入(pMDI)はネブライザー吸入と同等の効果があることが示されています。
2歳未満の乳幼児喘息では、まず診断の確定が重要です。3回以上の喘鳴を繰り返す場合、喘息と診断されます。治療ステップは重症度に応じて4段階に分かれます。
参考)https://www2.astrazeneca.co.jp/yourhealth/zensoku-town/asthma/baby/medical-therapy-a.html
【ステップ1】:長期管理薬なしで経過観察
【ステップ2】:吸入ステロイド薬(シクレソニドまたはベクロメタゾン)を1日1〜2回
【ステップ3】:吸入ステロイド薬にロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト)を併用
【ステップ4】:中用量の吸入ステロイド薬にLTRA併用
発作時には、短時間作用性β2刺激薬(プロカテロール)を吸入します。4〜11歳では2.5〜5mgのネブライザーまたはMDI 2〜4パフ、2〜5歳では1.25〜2.5mgのネブライザー使用が標準です。
幼児期になると、吸入薬の選択の幅が広がります。基本となるのは吸入ステロイド薬(ICS)で、ベクロメタゾン(キュバール)やプロカテロール(メプチンキッドエア)が頻用されます。
間欠療法(intermittent therapy)の実際。
発作終了後は、小発作程度なら1〜2週間、中〜大発作なら2〜4週間、1日1〜2回の維持療法を継続します。
学童期になると、ドライパウダー吸入器(DPI)の使用が可能になり、治療の選択肢が広がります。シムビコート(ブレデスニド160μg+ホルモテロール)などの配合剤も使用できます。
参考)https://www.gifu.med.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/07/guideline_child2022.pdf
【基本治療】。
発作時の対応は、シムビコートを使用する場合、30分以上間隔で2回まで吸入、その後は2時間以上間隔で1日3〜4回/日まで使用可能です。
吸入ステロイドの副作用予防には、以下のポイントが重要です。
【局所副作用の予防】
【全身副作用のモニタリング】
大量(400μg/日以上)长期使用では、副腎皮質機能不全の報告があるため、必要最小限の用量で維持することが肝要です。
β2刺激薬の副作用としては、動悸、頻脈、不整脈などの循環器症状、手足の震え(振戦)、吐き気などが挙げられます。
予防策。
特に注意すべきは、短時間作用性β2刺激薬単独での長期使用です。これにより気道炎症が悪化し、気道過敏性が亢進して喘息が逆に悪化する危険性があります。
ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)は比較的副作用の少ない薬剤ですが、稀に発疹、下痢、肝機能障害が報告されています。
テオフィリン徐放製剤を使用する際の留意点。
テオフィリンの副作用は血中濃度に比例し、高濃度では死に至るけいれんも報告されています。定期的な血中濃度測定が推奨されます。
参考)https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-06-0007.pdf
発作の重症度は、呼吸困難の程度、SpO2、ピークフロー値などで判断します。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/kigyoukenkai-175.pdf
【小発作(軽度)】。
【中発作(中等度)】。
発作時の初期対応として、お子様を安心させ、上半身を起こした楽な姿勢にすることが重要です。
大発作や呼吸不全に至った場合は、入院治療が必要です。
参考)https://pha.medicalonline.jp/img/cat_desc/MCb_table4.html
【大発作(重度)】。
【呼吸不全】。
ステロイド薬の静注では、プレドニゾロン1〜1.5mg/kgを初回投与、その後0.5mg/kgを6時間ごと、またはメチルプレドニゾロン1〜1.5mg/kgを4〜6時間ごとに投与します。
参考)https://pha.medicalonline.jp/img/cat_desc/MCb_table2.html
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