
静脈血栓塞栓症の症状は、まず深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症に分けて考えると整理しやすいです。深部静脈血栓症では、片脚の腫れ、痛み、皮膚の色の変化、熱感、圧痛が重要で、左右差があることが大きな手がかりになります。症状が軽い、または無症状の例も少なくなく、そこが見逃しやすさにつながります 。
参考)静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症)|病気のはなし…
医療従事者向けには、ふくらはぎ周径の左右差、歩行時痛、押したときの痛みだけでなく、表在静脈の怒張や「いつもと違う片脚の張り」を拾う視点が有用です。入院中や術後では、安静が長いほど症状が目立ちにくく、主訴が軽いことがあります。片脚だけの所見が典型ですが、両脚に出ることもあるため、左右差と経過を合わせて判断する必要があります 。
参考)静脈血栓塞栓症・深部静脈血栓症 - 西村医院-佐賀市(内科・…
肺血栓塞栓症の症状は、突然の息切れ、胸痛、呼吸困難、動悸、冷汗、失神が中心です。重症では血圧低下、意識消失、心肺停止に進むことがあり、足の症状より先に胸部症状で発症することもあります。軽症では症状が乏しい場合もあるため、突然出現した呼吸器症状は強く疑う必要があります 。
参考)深部静脈血栓症/肺動脈血栓塞栓症 - 心臓血管センター
臨床では、酸素化の悪化だけでなく、歩行時の息切れや胸部違和感のような曖昧な訴えも見逃さないことが重要です。特に、下肢症状に続いて胸痛や呼吸困難が出た場合は、深部静脈血栓症から肺血栓塞栓症へ進展した可能性を考えます。救急対応が必要な症状として、失神、血痰、急な全身状態の悪化も押さえておくと実践的です 。
参考)https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/y7m7qqgeui0
静脈血栓塞栓症は、症状がはっきりしないまま進むことがある点が特徴です。深部静脈血栓症では約半数が無症状という報告もあり、血栓の部位や閉塞の程度によって症状の強さが変わります。静脈の側副路が発達すると急性期の訴えが弱く見えることもあります 。
参考)https://med2.daiichisankyo-ep.co.jp/cardiology/knowledge/files/vte/vte1.pdf
見落としの先に問題になるのが血栓後症候群です。慢性的な痛み、腫れ、皮膚色素沈着、皮膚炎、静脈瘤様変化が残ることがあり、急性期の症状だけで終わらないのが臨床上の厄介な点です。治療せずに放置すると長期の生活障害につながるため、急性症状の段階で拾う意義は大きいです 。
参考)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/04-%E5%BF%83%E8%A1%80%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E9%9D%99%E8%84%88%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%85%A2%E6%80%A7%E9%9D%99%E8%84%88%E4%B8%8D%E5%85%A8%E7%97%87%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E8%A1%80%E6%A0%93%E5%BE%8C%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4?autoredirectid=36380&media=hybridmedia=hybrid" target="_blank" rel="noopener">慢性静脈不全症および血栓後症候群 - 04. 心血管疾患 -…
症状そのものに加えて、背景リスクの確認が診断精度を左右します。手術後、長期臥床、外傷、悪性腫瘍、妊娠、肥満、高齢、経口避妊薬やホルモン療法、喫煙などは重要です。入院患者では、安静や脱水、活動量低下が重なって発症しやすくなります 。
参考)https://www.kitasato-u.ac.jp/khp/dl/section/bumon/iryo_leaflet_03.pdf
意外と見落とされやすいのは、長時間の移動だけでなく、車中泊や体勢の固定、術後の痛みで動けない状態もリスクになる点です。さらに、症状が軽いまま進む例では、本人が「むくみ」として受け止めてしまうことがあります。だからこそ、片脚の急な変化とリスク因子の組み合わせで疑う姿勢が重要です 。
参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000121801.pdf
予防の基本は、早期離床、足関節運動、適度な歩行、水分補給、弾性ストッキングの適正使用です。医療現場では、予防策を実施していても100%防げるわけではないため、症状の監視と予防を同時に回す発想が欠かせません。とくに術後や入院中は、予防介入と観察をセットで運用することが重要です 。
参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000057066.pdf
独自の視点として有用なのは、「症状の強さ」より「左右差」と「変化速度」を見ることです。急に片脚だけ太くなる、以前より歩きにくい、胸部症状が数分で増悪する、といった時間変化は、単なるむくみや疲労感と区別する手がかりになります。さらに、看護記録や申し送りでは、痛みの部位、周径、皮膚色、熱感、呼吸数、SpO2を同時に残すと、肺血栓塞栓症への進展評価に役立ちます 。
参考リンクとして、入院中の予防策と症状の見分け方は厚生労働省資料が実務的です。入院時の予防と受診目安がまとまっています 。
肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断治療は、日本循環器系の診療情報が確認しやすいです。診断と治療の考え方を確認できます 。
参考)https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf
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