エタノール中毒の症状は血中濃度で意識障害まで進行

エタノール中毒の症状は血中濃度でどこまで変わるのか、治療の判断基準まで押さえておきたくありませんか?

エタノール中毒の症状

あなたが使う活性炭は中毒に無効です


エタノール中毒の症状 3ポイント
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血中濃度で症状が段階的に変化

0.02%のほろ酔いから0.70%の呼吸不全・死亡まで、濃度ごとに症状が明確に区分されています。

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活性炭は基本的に無効

他の中毒対応と違い、エタノール中毒では吸着剤である活性炭の効果が認められていません。

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重症例では血液透析も選択肢

エタノール濃度500mg/dl以上の重症例では、血液浄化法(血液透析)が施行されることがあります。


エタノール中毒の症状と血中濃度の関係



エタノール中毒の症状は、血中濃度の上昇にほぼ比例して重くなっていきます。0.02%程度ではほろ酔い気分ですが、0.10%になると知覚能力の低下や歩行障害が出てきます。0.20%まで上がると嘔気や嘔吐、意識障害が現れ、0.40%では低体温や低血糖という全身症状に発展します。


参考)https://www.umin.ac.jp/chudoku/chudokuinfo/i/i071.txt


つまり数字が上がるほど、脳から全身へと影響が広がるということですね。


0.70%になると反射減退や呼吸不全を起こし、死亡に至るケースもあります。成人の経口致死量はエタノールとして体重1kgあたり5〜8g、体重60kgならおよそ300〜480gに相当します。これはビール大瓶(633ml、アルコール度数5%前後)にすると10本以上を短時間で飲んだ場合に近いイメージです。



幼小児では致死量がさらに低く、体重1kgあたり3gとされ、100%エタノールをわずか6〜30ml、30分以内に摂取すると危険域に入ります。ペットボトルのキャップ1〜2杯分程度の量で重篤化しうるということです。誤飲事故の相談を受けた際は、この量的な感覚を持っておくと初期対応の判断がしやすくなります。



エタノール中毒の意識障害とGCS評価の注意点

急性エタノール中毒の患者では、外傷が隠れているケースがあるため詳細な身体所見の確認が強く推奨されています。飲酒による転倒や交通外傷が併存していても、酩酊状態のせいで見逃されやすいという問題があります。


参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=743


見逃しは訴訟リスクにもつながる、厳しいところですね。


さらに注意すべきは、血中アルコール濃度が低いにもかかわらずGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)が13点以下という場合です。この場合はアルコール以外の原因、たとえば頭部外傷や低血糖、他の薬物との合併を積極的に検索することが推奨されています。GCSと血中濃度の乖離を見逃すと、本来治療すべき病態を放置することになりかねません。



意識レベルと血中濃度が合わない場合は要注意、という視点を持つだけで見落としのリスクは大きく下げられます。院内で血中濃度の迅速測定システムがあるかどうかも、事前に確認しておきたいポイントです。


エタノール中毒の治療方針と活性炭が無効な理由

一般的な急性中毒治療では、活性炭による吸着療法が第一選択になることが多いです。しかしエタノール中毒に関しては、活性炭は無効とされています。エタノールは分子が小さく吸収が非常に速いため、活性炭が吸着する前に体内に取り込まれてしまうからです。



活性炭が効かない中毒、これは意外ですね。


代わりに行われるのが、全身管理、呼吸・循環管理、脱水対策としての補液、アシドーシスの補正、低血糖のチェックといった対症療法です。胃洗浄は1〜2時間以内であれば有効とされますが、他の薬物との同時服用が疑われる場合は4時間以内まで積極的に検討されます。強制利尿については無効であることも報告されています。



補酵素としてビタミンB1を50〜100mg、B6を20〜30mg投与し、アルコール分解を助ける処置も一般的です。肝保護目的でビタミンCを併用することもあります。これらの補助療法をセットで覚えておくと、初期対応のオーダーがスムーズになります。



エタノール中毒の重症例における血液透析の適応

エタノール濃度が500mg/dl以上の重症例では、血液浄化法、つまり血液透析の適応となります。これは致死的血中濃度とされる300〜700mg/dlの範囲の中でも、かなり高い数値です。



数字だけ見ると異常事態だとわかりますね。


500mg/dlという濃度は、体重60kgの成人であれば概算で純アルコール換算300g前後、日本酒なら一升瓶(1800ml)をほぼ一本近く短時間で摂取した状態に相当します。ここまで来ると自発呼吸の維持すら難しくなり、人工呼吸管理と並行した血液透析の準備が必要になります。


透析導入のタイミングを逃さないためには、来院時点での血中濃度測定と経時的な再検査が欠かせません。院内に血中アルコール濃度の迅速測定キットがない施設では、搬送先の選定基準として測定体制の有無を事前にリスト化しておくと判断が早まります。


エタノール中毒対応で見落とされがちな薬物相互作用

救急現場では、エタノール中毒と睡眠薬や向精神薬との併用による相互中毒が見落とされやすい傾向にあります。血中濃度だけを見て「アルコール単独」と判断してしまうと、実際にはベンゾジアゼピン系薬剤との併用による呼吸抑制を見逃す危険があります。


単独中毒と決めつけない、これが原則です。


興奮状態が強い場合にはジアゼパム注などが投与されますが、アルコールとベンゾジアゼピン系は呼吸抑制が相乗的に強まる組み合わせです。問診が難しい酩酊患者では、家族や同伴者からの薬歴聴取、お薬手帳の確認を並行して進める体制づくりが有効です。院内の薬剤部と連携した相互作用チェックリストを常備しておくと、初療時の判断ミスを防ぎやすくなります。



エタノール中毒の診断基準と治療方針の推奨度が詳しく整理されています


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