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カリウムを含めない式(Na−Cl−HCO3)と、含める式((Na+K)−Cl−HCO3)があり、正常値の基準が異なります。
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アニオンギャップは、血中の電解質バランスから測定されないイオンの量を推測する指標です。基本式はNa⁺−(Cl⁻+HCO3⁻)で、正常値は12±2mEq/Lとされています。
参考)https://hokuto.app/calculator/SexlXfiFuyR9gQwJLWsf
カリウムを含む式も存在し、(Na⁺+K⁺)−(Cl⁻+HCO3⁻)で計算します。この場合、正常値は12〜20mEq/L程度にシフトします。
参考)https://www.apollohospitals.com/ja/diagnostics-investigations/anion-gap-blood-test
どちらを使うかは施設や検査室のプロトコルによって異なります。基準値が違う点に注意が必要です。
実務では、カリウムを含めない式が国内では広く使われています。日本救急医学会の定義でもNa−(Cl+HCO3)が基本式として紹介されています。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0914.html
一方で海外の一部の教科書やICU向けツールではカリウムを含む式が採用されることもあります。
日本救急医学会の解説によれば、カリウムは測定されない陽イオン(UC)の一部として扱われ、約11mEq/Lとほぼ一定の値を示すとされています。
このため、細胞外液中のカリウム濃度の変動は通常小さく、アニオンギャップの計算結果に与える影響は限定的と考えられています。
つまり計算を簡略化しても実用上問題ないということですね。
ただし、腎不全や横紋筋融解症など高カリウム血症を伴う病態では、この前提が崩れる可能性があります。カリウムが大きく変動する患者では、含める式との差を意識しておくと解釈のズレを防げます。
日常臨床でどちらの式を採用しているか、カルテのテンプレートや検査部のマニュアルを一度確認しておくと安心です。
アニオンギャップの計算で見落とされやすいのが、アルブミン値の影響です。血清アルブミンは未測定陰イオンの大部分を占めているため、低アルブミン血症の患者では計算値が実態より低く出てしまいます。
具体的には、アルブミンが4g/dLを下回ると、1g/dL減少するごとにアニオンギャップへ2.5mEq/Lを加算する補正が推奨されています。補正AG=実測AG+2.5×(4.4−Alb)という式で計算します。
たとえば重症患者でアルブミンが2g/dLまで低下していた場合、約5〜6mEq/Lもの補正が必要になる計算です。これはコップ一杯分の誤差に相当するくらい大きな影響です。
補正を怠ると、本来は高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスであるにもかかわらず、正常範囲と誤認してしまうリスクがあります。ICU管理中の低栄養患者や肝硬変患者では特に注意が必要です。
見落としを防ぐには、アルブミン値とセットでアニオンギャップを評価する習慣をつけることが基本です。院内の検査システムに補正AGの自動計算機能があるか確認しておくと、計算の手間を省けます。
アニオンギャップが開大している場合、原因検索にはMUDPILESという語呂合わせが広く使われます。メタノール中毒、尿毒症、糖尿病性ケトアシドーシス、プロピレングリコール、イソニアジドや鉄中毒、乳酸アシドーシス、不凍液中毒、アスピリン中毒が含まれます。
参考)【医学生のための】血液ガス分析とアニオンギャップの基本の「き…
これらの病態の多くは、カリウムの動態にも影響を与えます。糖尿病性ケトアシドーシスでは体内カリウムが枯渇していても血清カリウム値は正常〜高値を示すことがあり、インスリン投与後に急激な低カリウム血症を起こすことがあります。
つまりアニオンギャップとカリウムは連動して評価すべき指標ということです。
腎不全による高アニオンギャップ性アシドーシスでは、カリウム排泄も同時に障害されるため、高カリウム血症を合併しやすい点も押さえておきたいポイントです。アニオンギャップの開大を確認したら、同時にカリウム値の推移もチェックする習慣が診断精度を高めます。
日々の臨床業務でアニオンギャップとカリウムを都度手計算するのは手間がかかります。特に補正アニオンギャップまで計算する場合、アルブミン値との掛け算が入るため計算ミスも起こりやすくなります。
こうした計算の手間を減らすため、Web上の医療計算ツールを活用する方法があります。HOKUTOやMIDEXなどのオンライン計算機では、Na・Cl・HCO3・K・Albの値を入力するだけでアニオンギャップと補正値を自動算出できます。
これなら計算ミスの心配もありません。
院内の電子カルテに計算機能が組み込まれていない場合は、こうした外部ツールをブックマークしておくと確認作業が短縮できます。日常的に血液ガス分析を扱う部署では、こうした計算補助の仕組みを整えておくと安心です。
アニオンギャップの定義と測定されない陽イオン(UC)の考え方について、日本救急医学会の用語集で詳しく解説されています。
カリウムの有無による計算式の違いと補正アニオンギャップの自動計算ツールが利用できます。
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