アカシジア原因薬と離脱時の見極め方

抗精神病薬だけが原因と思っていませんか?制吐薬や抗うつ薬でも起こるアカシジアの原因薬を整理しました。あなたの現場対応は本当に正しいでしょうか?

アカシジア原因薬

胃薬を減量すれば安心、は間違いです。


アカシジア原因薬の3ポイント

💊

原因薬は抗精神病薬だけではない


制吐薬メトクロプラミドや一部の抗うつ薬でも発症する

⏱️

発症タイミングは複数ある


急性・遅発性・離脱性で対応が変わる

🩺

見逃すと自殺リスクにつながる


強い焦燥感が続くと患者の苦痛は深刻化する


アカシジア原因薬として代表的な抗精神病薬の特徴



抗精神病薬はアカシジアの最も代表的な原因薬です。ハロペリドールのような定型抗精神病薬では発現率が20〜40%にのぼるとされ、これは診察した患者5人に1〜2人が該当する計算です。リスペリドンアリピプラゾールといった非定型抗精神病薬でも一定の頻度で発生します。


参考)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_17997


つまり非定型薬に切り替えても油断は禁物ということですね。


一方でクエチアピンオランザピンは比較的発現が少ない薬剤として知られています。処方変更の選択肢を検討する際、この違いを知っているかどうかで対応スピードが変わります。薬歴を確認し、疑わしい薬剤があれば減量・中止・置換・処方単純化の順に検討するのが基本です。



具体的な行動としては、処方変更前に薬剤性錐体外路症状のチェックリストを一度確認すると見落としを防げます。


アカシジア原因薬で見落としやすい制吐薬と抗うつ薬

見落とされがちなのが、吐き気止めとして使われるメトクロプラミド(プリンペラン)やドンペリドンナウゼリン)です。これらは消化器症状の治療薬として日常的に処方されますが、アカシジアの原因薬になり得ます。総患者の15〜35%が薬剤性アカシジアに罹患しうるという報告もあり、これは10人診察すれば1〜3人が該当する規模です。


参考)アカシジア(静坐不能)とは|原因薬・見分け方・治療の使い分け…


抗うつ薬も例外ではありません。


SSRIやSNRI、三環系抗うつ薬でもアカシジアが誘発されることが報告されています。あまり知られていない点として、気分安定薬のリチウムによるアカシジアの報告も存在します。抗精神病薬だけを疑って抗うつ薬や制吐薬を見落とすと、原因薬の特定が遅れ、患者の苦痛が長引くというデメリットにつながります。


参考)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d081002/


服薬歴を時系列で並べたメモを作ると、原因薬の絞り込みが早くなります。


アカシジア原因薬による発症時期の分類とリスク

薬剤性アカシジアには発症時期による分類があります。投与開始や増量後、数時間から2週間以内に生じる急性アカシジアが最も典型的です。原因薬投与から3カ月以降に生じる遅発性アカシジア、そしてパーキンソン病治療薬や抗コリン薬の減量・中止後に生じる離脱性アカシジアもあります。



3つの分類を押さえておけば対応の幅が広がります。


急性期の見逃しは精神症状の悪化と誤認されやすい点が注意点です。焦燥感の悪化に見えても、実際は薬剤性の可能性があるということですね。血清鉄の低下や糖尿病はアカシジアの危険因子として知られており、血液検査データを合わせて確認する習慣が有用です。



アカシジア原因薬を疑った際の治療薬選択の実際

原因薬の減量・中止が難しい場合、対症療法が選択肢になります。極度の不安・焦燥を伴う場合はベンゾジアゼピン系(クロナゼパムジアゼパムなど)、錐体外路症状を伴う場合は中枢性抗コリン薬(ビペリデン、トリヘキシフェニジル)が用いられます。ベータ遮断薬のプロプラノロールも有効性が確認されています。


参考)最近の診察から(2020年11月30日)


薬の使い分けを誤ると症状が長引くこともあります。


クロニジンアマンタジンミルタザピンシプロヘプタジンなども症状緩和に働くとされています。厳しいところですね。最新のネットワークメタ解析に基づく治療薬の使い分け情報は、専門医監修の解説記事で詳しく整理されています。



アカシジアの診断・対処法を医療従事者向けに解説した重篤副作用疾患別対応マニュアルはこちら


アカシジア原因薬の情報を非薬剤性の病態と区別する視点

薬剤性以外にもアカシジア様症状が出るケースがあります。パーキンソン病、脳炎後遺症、末期腎不全(透析患者)に伴う非薬剤性アカシジアは稀ですが存在します。原因薬がないのにアカシジア症状が続く場合、こうした背景疾患を疑う視点が独自の切り口になります。



薬歴だけで判断しないことが原則です。


むずむず脚症候群(RLS)との鑑別も重要な視点です。両者は症状が似ているため見誤ると治療方針を誤ります。原因薬の特定と並行して、背景疾患や類似疾患の除外を行うことが正確な診断につながります。



アカシジアの診断ポイントと治療薬選択の詳細が私の治療欄で解説されています

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